ライアーライフスタイル
「真咲、人を本気で好きになったことないでしょ」
そう言ったあかりの声は震えていた。
「うん。ない」
そしてその予定もない。
「好きな人にプロポーズされるとさ、すごく嬉しいんだよ。それだけでもう、一生幸せに暮らせてしまうような気がするの」
「気がしただけってことだよね。さんざん悩まされて、結果的に結婚やめるんだから」
酷いことばかり言うのは心苦しい。
こんな言葉で何くそ根性を煽ることしかできない私を許してほしい。
私の8割は嘘でできている。
彼女はそれをわかっているはずだから、いつか私の真意に気付いてくれると信じている。
「あたし、帰るわ」
あかりは私と山村を残し、コースを外れ早足で公園を歩いて行く。
これでいい。私はよくやった。
大好きな親友に向けてここまで辛辣な言葉を発するのは、さすがに辛かった。
「弦川さん! あかりさんを追わなくていいんですか?」
山村が一人で焦っている。
「いいんです」
気まずい思いをさせて申し訳ないけれど、今は山村なんかのフォローをしている余裕がない。
足は震えているし、目頭が熱くてたまらない。