ライアーライフスタイル
飲み物を買うために、いつものコンビニに足を向けた。
駐車場に差し掛かったところで香ばしい煙草の匂いがふわりと届く。
このコンビニには、ゴミ箱の横に円柱形の灰皿が設置されている。
私は吸わないからあまり気にしていなかったけれど、今夜ばかりは無視することができなかった。
そこにいる男が、明らかに私へ視線を向けていたからだ。
私はコンビニに立ち寄るのをやめてしまおうと思ったが、それより先に男が私を呼んだ。
「つる子」
また山村である。
彼は煙を吐き、灰皿に火種を押し付けた。
私は不快感を隠すことなく彼を睨みつける。
「違うって言いましたよね。変な名前で呼ばないで」
文句だけ言って店内に入ろうとしたが、「弦川さん」と引き止める呼び方をされ、仕方なく立ち止まる。
いくら近所に住んでいるからって、どうしてこう何度も何度も彼に出くわしてしまうのだろう。