ライアーライフスタイル
「俺たちは友達と言えるほど仲良くはなかったけど、ある日の放課後、たまたま二人で教室に居合わせて、俺はつる子にリコーダーを教えてもらった」
一枚一枚、服を脱がすように真実を暴いていく。
私が必死に守ってきた繊細な真実を剥き出して、何をしようというの?
また傷つけて笑いたいの?
逃げたいけれど逃げられない。
山村は私の腕を掴んだままだ。
「どんな経緯かは忘れてしまったけど、それがクラスメイトにバレて、冷やかされて。堪えられなくなった弱い俺は、自分が冷やかしから解放されるため、つる子にとても酷いことを言ったんだ」
“だってつる子、ブスじゃん”
大人になった彼は、あえてその言葉を口にしなかった。
しかし私の脳内ではクリアに再生される。
避けたり知らないふりをしたり、できるだけ彼と関わらないよう頑張ってきたけれど、無駄だった。
避けようとする言動が不自然過ぎて、逆に山村を刺激していたのかもしれない。
私がつる子であることは、いずれにしろバレてしまう運命だったのだ。
「俺、本当はそのことを謝りたかったけど、タイミングが掴めなかった。自分が泣かせた女の子にどう接していいかもわからなかった」
言い訳なんかどうでもいい。
結果的に、謝らないまま私から逃げたのが真実なのだから。