ライアーライフスタイル
彼が後悔や誠意を見せるほど、私は嫌な気持ちになる。
山村には悪者でいてもらわないと困るのだ。
「自己保身のために他人を犠牲にするのは、正当防衛では?」
「それでも、俺はやりません。つる子に恥じない自分でいたいから」
そんな努力、私には何の意味もない。
それで私の傷が癒えることはないのだから、ただの自己満足に過ぎない。
「あなた、間違ってる」
「え?」
「あなたは当時のまま、自分のために他人を犠牲にする非道な人間でいた方が、彼女は喜んだと思います。見下して馬鹿にできるよう、クズみたいな人間でいてくれた方が、スカッとするでしょうから」
山村がイイ男に成長したことが気に入らない。
私はそんなあんたを望んでいたわけじゃない。
「はは……言いますね」
私の言い分に、さすがの山村も引いたようだ。
「今のあなたが彼女に何を償えるっていうの? 私をつる子だと思っているのなら、贖罪として二度とその話題を出さないで」
とことん落ちぶれていてほしかった。
これ以上ないほどの優越感を味わいながら、鼻で笑えるくらいに。
今の山村では、私は救われない。