ライアーライフスタイル
「しません! デートって……どういうつもり?」
「男として、気になる女性を誘っているんです。つる子のことは話題に出したりしません」
まさか本当に口説くつもりなのだろうか。
いや、つる子のことを認めさせたいから構いたいだけに決まっている。
「気になるって……そういう意味じゃないくせに」
「そういう意味もあります。もっとあなたのことを知りたい」
騙されちゃダメだ。
これは山村の罠だ。
私がつる子であると認めさせるための餌なのだ。
こんな駆け引きに負けてたまるか。
今の私がどんな女であるか、思い知らせてやる。
「そうよ、私がつる子なの。あなたに酷いこと言われて落ち込んじゃったけれど、今はこの通り元気に楽しく暮らしてるから問題ないわ。だから私なんかに構わず、他にいい人を見つけてちょうだい」
嫌味っぽく棒読みで言い放つ。
山村は再び、諦めたようにため息をついた。
これでいい加減、私が真面目に打て合う気がないことを悟っただろう。