ライアーライフスタイル
「わかった。つる子のことなんてもうどうでもいい。あんたはつる子じゃない。それでいいよ、もう」
山村が投げやりに敗北を宣言する。
これで解決、終戦だ……と思いたかったが、やはり山村は私の想像の斜め上をいく男だった。
「でも、あんたのことが好きなのは本当だから」
「は?」
「好きなんだよ。この間言った通り、本当に運命感じるんだよ。俺ら、たぶん結婚すると思う。本気で」
「……バカじゃないの」
山村が壊れてしまった……のか?
それとも、さっきの嫌味に対する報復で私を撹乱させたいだけ?
「あんたがつる子じゃないとしたら、何の恨みもない取引先の営業マンを、問答無用で振ったりはできないよな」
山村はそう言って口角を上げる。
私がつる子ではないというスタンスをこんな形で利用されるなんて思ってもみなかった。
彼はあえて私たちの関係をどんどん複雑にしている。
それはきっと、私を逃さないために。