ライアーライフスタイル

「私はそんなにいい子じゃない。問答無用で振ることだってできる。言ったでしょう? 私、今日はデートだったのよ」

「一応聞く。彼氏いるの?」

山村が敬語を使うのをやめた。

声色や目つきも変わった。

爽やか営業マンのキャラを演じるのをやめたということだ。

あくまで同級生として接するつもりだということだろう。

「いるの。だから邪魔してほしくない」

嘘だけど、これ以上付きまとわれてたまるか。

「やだね。俺はあんたを奪いたい」

体がカッと熱くなった。

“奪いたい”だなんて、真面目に言われたのは初めてだ。

営業マンのベールを脱いで男を見せ始めた彼に、全身が警鐘を鳴らしている。

「どうして私なの?」

「だって弦川さん、綺麗だから」

< 180 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop