ライアーライフスタイル
「私はそんなにいい子じゃない。問答無用で振ることだってできる。言ったでしょう? 私、今日はデートだったのよ」
「一応聞く。彼氏いるの?」
山村が敬語を使うのをやめた。
声色や目つきも変わった。
爽やか営業マンのキャラを演じるのをやめたということだ。
あくまで同級生として接するつもりだということだろう。
「いるの。だから邪魔してほしくない」
嘘だけど、これ以上付きまとわれてたまるか。
「やだね。俺はあんたを奪いたい」
体がカッと熱くなった。
“奪いたい”だなんて、真面目に言われたのは初めてだ。
営業マンのベールを脱いで男を見せ始めた彼に、全身が警鐘を鳴らしている。
「どうして私なの?」
「だって弦川さん、綺麗だから」