ライアーライフスタイル
山村がうちの担当になって以来、ちょっぴり仕事がやりにくくなった。
プライベートでも気が抜けなくなったし、いつものコンビニに行くだけでも彼に会うのではないかと緊張する。
通勤電車の時間だって、早めにずらすことになった。
彼との再会は、試練だ。
整形し嘘の自分を作り上げた私に、嘘には限界があることを知らしめるための試練なのだ。
あるいは、この場から逃げろという思し召しだろうか。
私にはこの会社を辞めて転職し、山村のいるあの町から出ていくという選択肢もある。
私には転居のせいで迷惑をかける家族などいないし、別れを惜しむような恋人もいない。
知らない土地で嘘の自分をリセットすることだってできるのだ。