ライアーライフスタイル

「あのあかりだもん。大丈夫に決まってる」

幸せになることに貪欲なあかりなら、きっと危機を乗り越えているはずだ。

山村が励ますように私の手を握り直した。

「頑張ってついた嘘が効いていればいいね」

温かい言葉に、私は不覚にも泣きそうになってしまった。

山村は私の心を震わせるのが上手い。

いや、過去のことがあって、私が勝手に意識しすぎているだけかもしれない。

いい意味ではないけれど、私にとって山村は特別な存在だ。

「うん」

まだちょっと気まずいけれど、そろそろあかりに連絡してみよう。

山村に背中を押されるなんて不甲斐ないけれど、いいきっかけになった。

もしこの件に山村が関わっていなかったら、私は唯一の女友達を失っていたかもしれない。

< 214 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop