ライアーライフスタイル
舟木にはもう何度も「付き合おう」と言われている。
だけど私は、それをずっとかわし続けている。
というのも、彼はどうも「思い通りにいかない女の方が落とし甲斐がある」と思っているようなので、彼の前では、彼好みのワガママな女を演じているのだ。
「ねぇ、私今日誕生日だよ? 何かプレゼントくれないの?」
「俺は付き合ってくれない女にプレゼントはしない主義」
「うわー、ケチー」
というのは言葉だけだ。
私はプレゼント目当てでデートをしているわけではないから、プレゼントがなかろうが全然構わない。
「もし付き合うっていうんなら、これやるよ」
差し出されたベルベットの赤い箱。
中にはおそらく、そこそこ値の張るジュエリーが収まっている。
条件付きではあるが、一応準備はしてくれたらしい。
「受け取る? 受け取らない?」
受け取るということは、つまり彼と付き合うということ。
「今決めなきゃいけない?」
「別に。真咲に待たされるのはもう慣れた。今受け取らないんだったら他の誰かにやるかもな」
舟木ほどの男なら、きっとすぐにでも貰ってくれる女が見つかることだろう。
だけどそうしないのは、私が好きだからだ。
「あんたって本当に可愛いよね」
「うるせーよ」