ライアーライフスタイル

舟木はそれ以降、ずっとご機嫌だった。

「俺、車買っちゃおうかな。そしたら真咲といろんなとこ行けるし」

「都内に住んでるくせに、独身のうちからそんな贅沢していいの?」

「車を買えるくらいは稼いでるつもりだけどな」

「私だって、車の一台くらいは買えるけど」

「ははは。ていうか、実家に住んでる真咲の方が金持ってそうだよな。真咲が買うか?」

舟木の言葉に、ギクッと肩を震わせる。

いつか実家に招待して、親を紹介しろとか言われたらどうしよう。

「やだ。私ペーパードライバーだし、運転怖い」

「俺も、しばらく乗ってねーなー。運転できるかな」

「今度試しにレンタカーして出かけてみる?」

「それいいな」

次のデートの話になると、いっそう舟木は幸せそうに笑う。

付き合い初めのお互いが初々しい時期が一番いいと言われるけれど、彼はきっと今そんな状態の真っ最中なのだろう。

かたや私は、余裕がなくて楽しめていない。

窮屈に感じたり、焦ったり、胸が痛んだり……。

嘘をつくには頭を使うから、同じ人と長時間一緒にいるのは結構大変だ。

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