ライアーライフスタイル
午前1時、自宅の最寄り駅に到着。
一晩で三人の男とデートという無謀な挑戦は、ようやく終わりを迎えた。
さすがに疲れた。
だけどとても充実した気分だ。
家に帰って急いで寝支度をしよう。
この充実した誕生日で得た優越感にどっぷり浸かりながら、気持ちよく眠っていい夢を見よう。
自宅までの道中、私は飲み水を切らしていたことを思い出し、自宅から一番近いコンビニへと入った。
ミネラルウォーターと炭酸飲料を手に取り、ついでに明日の朝食を調達しておこうと軽食のコーナーへ。
サンドイッチを物色していると、「あの」と後ろから声をかけられた。
条件反射で振り返る。
声の主を目にした瞬間、私は危うく悲鳴を上げそうになった。
そこに立っていたのは、あの山村由貴だったのだ。
「驚かせてすみません。確か、イズミ商事の事務の方ですよね?」
否定したい。
全力で否定したいが、仕事相手に下手な嘘はつけない。
「は、はい」
「やっぱり! 奇遇ですね」
なぜ彼がここにいるのだろう。
私服……いやむしろ部屋着だし、髪は半乾きだし、なんだかいい匂いがする。
これはもう、嫌な予感しかしない。