ライアーライフスタイル

山村はそれがどうしたとばかりに笑う。

「飲みたいから来たんだろ?」

「そうだけど……」

「あんたも俺も、飲みたいから来た。それでよくね?」

山村はそう言ってメニューを開き私に見せてくる。

魅力的なメニューがたくさん載っている。

飲みたいから来た。

そうだけど、それでいいんだけれど、胸がざわざわして落ち着かない。

私はきっと、チューハイを飲んで既に酔っている。

だから判断力が鈍って、つい誘いに乗ってしまった。

「私、お刺身の盛り合わせと豚肉のチーズ巻きとミックスピザ、あとこの煮卵食べたい」

「了解、他には?」

「後から考える」

「はいはい」

主導権が握れない。

山村に転がされている。

頬杖をついて私を見つめる山村が、今までの誰よりもカッコよく見える。

肌が綺麗だな。

唇もプルプルだ。

首の喉仏と血管が浮き出てる腕がセクシーだし、手が肉厚で骨っぽい。

カップル向けのL字席、侮れない。

相手がよく見える距離感が絶妙だ。

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