ライアーライフスタイル
間もなくビールが届いた。
その時のスタッフに食べ物の注文をして、乾杯をした。
無意識にビールを煽る彼の喉仏を密かに見つめてしまっていた。
今日は酒が回りそうだ……。
山村の前では下手なところなんか見せたくないのに。
始めのうちは仕事の話をしていた。
だけどすぐに飽きてしまい、必然的にプライベートな話題へと転換していった。
「そういえば、男といたって言ってたね。彼氏?」
もう舟木のことを彼氏とは呼べなくなってしまった。
どう答えていいかわからず視線だけ彼に向けて口を結ぶ。
「帰ってきたってことは、ケンカした?」
ケンカというほどのことはなかった。
でも。
「あかりのこと、嫌いだって言ったの」
「あかりちゃん?」
私は首を縦に振る。
「それでムカついて、たくさん余計なこと言っちゃった」
「余計なこと?」
「嘘ついてたこととか」
「ああ……」
山村は察したように苦笑いした。
「んで、別れた」
「“んで”って……。今からでも謝れば、仲直りできるんじゃない?」
「仲直りなんかしなくていい。言っとくけど、私から振ったんだからね!」
それに舟木だって、自分を騙していた私を許すことはないだろう。
あかりと拓馬くんを見て、私も愛し愛される恋愛をしてみたいと思った。
嘘などつく必要のないくらい、ありのままの自分を愛してくれる人でないと無理だとわかった。
こんな女を好いてくれる男なんて、きっとこの国にはどこを探したっていないだろうけれど。
「はいはい、わかったよ」
「もー、信じてないでしょー」
「そんなことないよ」