ライアーライフスタイル
私も山村も同じペースで飲んでいるのだが、山村は頬がほんのり赤くなっている程度でしっかりしている。
かたや私は呂律の怪しい口調で自分勝手にくだを巻いている。
悪い酔い方をしている私が山村に絡んでいる状態だ。
山村はきっと、ちっとも楽しくないだろう。
だけど私には関係ない。
山村を楽しませるつもりなんてさらさらない。
私が勝手に楽しむのだ。
「同情するよ。あんたじゃなくて、男の方に」
「なんで男の方なの?」
私と飲んでいるのだから、私の味方をしなさいよ。
「付き合ってる女が自分に嘘ついてるとか、知りたくなかっただろうな」
「そんな私を好きになったのが悪いんだもん」
「うわ、自己中」
そう言って顔を歪めるが、口元は笑っている。
その余裕に、なんだか無性に腹が立つ。
「そんな嘘つきの自己中女にちょっかい出してるあんたは何なのよ」
好きだとか何とか言ったくせに。
満員電車で手を繋いだり、卑猥に撫で回したりしたくせに。
山村は唇を尖らせる私に、にっこりと笑顔を見せて言った。
「つーかあんた、俺には大して嘘なんかつかないじゃん」