ライアーライフスタイル
言いたいことはわかっている。
人と共に生きていくために、あんたの言葉も受け入れろってことでしょう?
そんなの嫌だ。
私は顔に触れる彼の手を払う。
「あんたの言葉は響かない」
私をブスだと糾弾して好意をはねつけたくせに、偉そうに。
容姿にも能力にも恵まれ人に愛されて生きてきた人間の戯れ言など、虐げられて生きてきた人間には響かない。
私みたいなブスは、本音なんて晒そうものなら容赦なく迫害されてきた。
山村は同情するようにため息をつく。
「じゃあ言い方を変える」
言い方を変えたって私の考えは変わらない。
あんたの言葉なんかで変わってたまるか。
「嘘で見栄を張ったり自分を守ったりしなくても、あんたの本当の姿を受け入れてくれる人間が必ずいるよ」
必ず?
「何を根拠にそんなこと」
「根拠は、俺」
嘘だ。絶対に嘘だ。
私が本音を漏らす度に、いつも説教するくせに。
説教して、そのくせまたすぐに馴れ馴れしく絡んでくる鬱陶しい男。
「……聞いてる?」
「芋焼酎おかわり。ロックで」
山村はガックリ肩を落とした。
「はいはい」