ライアーライフスタイル

『別れたって何で? 昨日一緒に食事したばっかりじゃん! わけわかんない!』

あかりの驚きと疑問はもっともだ。

昨日あかりたちと別れるまでは、ラブラブなカップルだったのだ。

「あの後、ちょっとしたことで大ゲンカしちゃって。面倒になっちゃった」

ランチ中、舟木が不機嫌だったことに、きっとあかりも気づいていたはずだ。

自分のせいだとは思わせたくない。

『真咲が振ったの?』

「まぁ、うん。そうなると思う。つい感情的になっちゃった。ムカついて自分をコントロールできなかった。その点は反省してる」

誰かと付き合うのは思っていたより難しかった。

本当に思い合っているカップルならケンカしたって仲直りできるのだろうけれど、私には無理だ。

嘘をついていたことも白状してしまったし、何より自分がそれを望まない。

『それでやけ酒したってわけ?』

「そんなつもりはなかったんだけどね」

山村のせいで酒が進み、結果的にそうなってしまった。

『はぁ……。儚い恋愛だったね』

「うん、ほんとに。初彼だったんだけどな」

『なのに思い出にもなんないじゃん』

あかりにもっと聞いてほしい。

だから本当は長話をしたいところだけど、二日酔いで辛いのでまた後日ということにして電話を切った。

再びトークアプリを開き見知らぬアカウントのトーク画面をタップする。

【二日酔いお疲れ】

ふざけたスタンプが添えられている。

誰からのメッセージかなんて、アカウント名を見なくてもわかる。

「超腹立つ……」

いつの間に私とID交換していたの?

私の指は、勝手に彼への返信を入力していた。

【平気だし】

送信。

もちろん、ふざけたスタンプを添えて。


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