ライアーライフスタイル

突き刺さる冷たい視線。

幼い頃の私が毎日浴びていた、汚いものを見る鋭い視線だ。

話をまとめるとこうだ。

新田主任は、反則カードの乱用でオリエンタル・オンの高田さんを精神的に追い込み、煩わせてしまった。

尊敬する上司を潰されてしまった山村は、初めから新田主任に報復するつもりで動いていた。

山村は社内不倫というネタを掴み、私を巻き込むことを承知で非情にもそれを使用。

己の不祥事の責任や、山村という脅威から逃れるため、新田主任はこの会社を辞めることを選んだ。

このことはすぐに社内や周辺企業に広まるだろう。

そして家族は私とのことを知ることになるだろう。

そうなる前に、消えることを選択した。

「それじゃあ、俺のところに戻っておいでよ」なんて言っておいて、酷い人。

彼はもう手遅れだとわかっていた。

私が戻ると言えば、私を守ってくれただろうか。

答えはノーに決まっている。

その時にはもうこの会社から逃げることを決めていて、そうすれば私ともっと楽に関係が営めるとでも思ったのだろう。

もはや彼に脚を開くなんて、死んだってごめんだが。

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