ライアーライフスタイル

いつものコンビニに立ち寄る。

山村の姿がないことにホッとした。

今彼に会ったら、自分がどんな態度をとるかわからない。

自分の身から出たサビなのだから彼を責めるのはおかしいし、だけど山村が意図的に私を巻き込んだせいでこうなったのは確かだから、素直に「仕方ない」とも思えない。

できれば二度と会いたくない。

転職したらこの町を出よう。

さすがに再々会をすることはないだろう。

飲み物と明日の朝食を買い、店を出る。

とぼとぼ歩いて自宅マンションに到着。

エントランスの左側に男性の人影があった。

住人の彼氏だろうか。

そう思って気にしていなかったのだが、顔がはっきり見えたところで反射的に足が止まった。

人影の正体は山村だった。

白シャツにスラックスのクールビズスタイルだ。

いつものかばんも持っている。

どうやら彼も仕事帰りらしい。

二度と会いたくなかったけれど、何となくそういうわけにはいかないだろうなという気はしていた。

神は私の味方などしてくれたことはない。

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