ライアーライフスタイル
山村が初めて会社の飲み会に参加した日、愚かな私は新田主任と仲よくなるよう勧めた。
それを聞いた彼は、失礼にも「僕を騙してるってことは……ないですよね?」と尋ねた。
私は腹を立ててこの質問の意図について深くは考えなかったけど、今なら山村の気持ちがわかる。
原口を騙していた私も主任の無理な取引に荷担しているのではと疑っていたのだろう。
他の会社の担当者がコロコロ変わっていたのは、新田主任の無理な取引に堪えられなくなったからかもしれない。
「高田さんは俺が入社してからずっと世話になってた直属の上司だった。俺、本当にあの人のこと尊敬してて。だから、新田さんが許せなかったんだ。新田さんを何とかすることが、オリオンの利益を守ることに繋がるって確信があった。だから……」
「私を巻き込んで新田主任に報復したのね」
高田さんには、心から同情する。
申し訳なくも思うし、報復は当然だとも思う。
でも、それをするのはあなたでないといけなかったの?
私を巻き込まなければ成せなかったの?
「まぁ、俺も無茶したし、イズミとの間に確執を作ったことは反省してる。会社に無断で行動したから、明日から謹慎食らうんだけど、その分の信用は仕事で取り戻すよ」
「そう」
「今週中には謹慎が解けるから、そしたら正式に担当交代の挨拶に行くよ。謝罪もかねて」