ライアーライフスタイル

夜になると高校生の弟や父が帰ってきた。

久々に家族で囲む食卓は賑やかだ。

少し残念なのは、母の手料理が相変わらず美味しくも不味くもないというところ。

私の方がずっと美味しく作れるから、近々私が手料理を振舞うことにしよう。

「あのさ、ひとつお知らせがあるんだけど」

談笑の途中、私がそう切り出すと、家族の目が期待に輝いた。

私が続きを話す前に、母が興奮気味に言う。

「え? え? まさか、結婚するなんて言い出すんじゃないでしょうね」

「言わないし。私まだ結婚する気ないし」

まだっていうか、一生する気ないし。

しかしそう言うと母が悲しむ気がするから、言わないでおく。

「相手がいないんだろ」

弟の余計な口出しは無視。

「いいから聞いて。私、会社辞めたの。今ニート」

家族の反応は予想以上に薄かった。

「あらそうなの」

「ふーん」

「そっか」

「で?」

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