ライアーライフスタイル

可愛らしい、男の子?

てっきり表面的にだけ仲よくしてくれていたクラスの女の子だろうと思っていたのに。

「その子ね、“つる子さんいますか”って訪ねてきたの。あの頃の真咲のあだ名よね?」

……つる子。

確かに私は当時、クラスメイトにつる子と呼ばれていた。

弦川の“つる”を取って、わざとダサくつけられた、ブスな私を蔑むためのあだ名だ。

「それで?」

「真咲ならおばあちゃんの家に行ってていないって説明したら、残念そうに“そうですか”って言って帰ってったのよ。真咲が帰ってくる日も教えておいたんだけど、来なかったわね」

こんなの、初耳だ。

どうして今まで15年以上、そのことを思い出してくれなかったの。

「昔のことだからまったく心当たりないけど、大した用事じゃなかったんじゃない?」

嘘だ。大嘘だ。

一人だけ、心当たる人がいる。

もしかしたらあいつが遠くに引っ越してしまう前に、私に謝りに来てくれたのかもしれない。

違うかもしれないけれど、期待してしまう。

今さらそれがわかったところで仕方ないのだけれど、もし本当にそうだったら、少しだけ……嬉しい、かもしれない。


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