ライアーライフスタイル
探して見つけて、今さらどうする気?
散々私を利用して、悪事を晒しクビにまで追い込んでおいて、よくも顔を見せようなんて気になれたものだ。
私は精いっぱい軽蔑を込めて「フッ」と鼻で笑ってやった。
「こないだイズミに行ったら違う女に迎えられて。あんた会社辞めたって聞いて。それって絶対に俺のせいだから。確かに新田さんには辞めてもらうつもりだった。でも、あんたに対してはうちからは何も要求しなかったし、謹慎か異動で済む見込みだったんだ」
焦ったように捲し立てる山村がとてもとても滑稽だ。
「社内不倫がバレたんだから、いられなくなって辞めるのが普通でしょ。でも別にあんたのせいじゃない。自業自得」
「それでも、俺が引き金なのは間違いないし」
「だからわざわざ謝りに来たって?」
ここで謝られても、惨めになるだけだ。
私はまた山村のために犠牲になったのだと突き付けられる。
「堀口さんに聞いたら、あんた夏休みは地元に帰るって言ってたから」
おしゃべりおばさん、余計なことを。
「つる子の住まいなんて覚えてないし、昔の土地勘はアテにならない。町を歩いてもいないし、会うとか無謀だと思ってはいたけど。まさかここで会えるとは……あー、もう来てよかったー!」