ライアーライフスタイル
涙がとめどなく頬を伝う。
私は静かに手の甲で涙を拭った。
これからって、癒すって、幸せにするって。
まるで私たちに未来があるような言い方だ。
文句を言いたいのに、上手に口が開けない。
山村がゆっくりと頭を上げた。
私の顔を見て、さらに泣きそうな表情を浮かべる。
「つる子」
「見ないで」
私は彼に背を向けるが、彼がすぐに正面に回る。
「無理」
「あっち行って」
「無理だってば」
山村が私の両手を掴む。
顔を背けるどころか涙を拭うことすらできなくなってしまった。
「つる子、本当に綺麗になった」
「やめて……」
整形だってわかってるくせに。
「本当に本当に、綺麗になった」
本当はブスだってわかってるくせに……。
山村のことは一生嫌いでいたい。
これからも強く生きていくために、嫌いなままでいさせてほしい。
「俺やっぱ、あんたのこと好きだよ」
「嘘」
「本当だって。好きだよ」
嫌だ。
私は好きだなんて思いたくない。
こんなに彼を愛しく思っていることを、認めたくない。