ライアーライフスタイル

涙がとめどなく頬を伝う。

私は静かに手の甲で涙を拭った。

これからって、癒すって、幸せにするって。

まるで私たちに未来があるような言い方だ。

文句を言いたいのに、上手に口が開けない。

山村がゆっくりと頭を上げた。

私の顔を見て、さらに泣きそうな表情を浮かべる。

「つる子」

「見ないで」

私は彼に背を向けるが、彼がすぐに正面に回る。

「無理」

「あっち行って」

「無理だってば」

山村が私の両手を掴む。

顔を背けるどころか涙を拭うことすらできなくなってしまった。

「つる子、本当に綺麗になった」

「やめて……」

整形だってわかってるくせに。

「本当に本当に、綺麗になった」

本当はブスだってわかってるくせに……。

山村のことは一生嫌いでいたい。

これからも強く生きていくために、嫌いなままでいさせてほしい。

「俺やっぱ、あんたのこと好きだよ」

「嘘」

「本当だって。好きだよ」

嫌だ。

私は好きだなんて思いたくない。

こんなに彼を愛しく思っていることを、認めたくない。
< 374 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop