ライアーライフスタイル
「でも原口さん、私がそのあとに別の人にもお祝いしてもらったことを、すごく怒ってるみたいで……」
「え? なんで?」
「わからない。でも、そのことはいいの。ただ、金曜日に別れたあとと、今日。原口さん、私を尾けていたみたいで……怖くて……」
そう言って山村にも涙を見せる。
「尾けていたって……」
山村が険しい顔になる。
洗脳(インプット)は完了した。
原口を悪者に仕立て上げ、山村をいう騎士(ナイト)を配し、自分を鉄壁で防御する。
私に喧嘩を売るということは、こういうことだ。
「彼と、付き合ってるの?」
山村の問いに、私ははっきりと横に首を振った。
「いいなとは、思っていたんだけど」
原口とはいい関係を続けたかった。
スマートな人だと思っていたのに、私の見込み違いだった。
本当に残念でならない。
「真咲ちゃん……」
原口ががっくりと肩を落としながら私の名を呼んだ。
山村に私の下の名前を知られてしまったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。