ライアーライフスタイル
「原口さんとおっしゃいましたね」
「は、はい」
山村が仕事の時とは全然違う低い声を出し、原口の肩が震えた。
私の騎士が動いたことで、この場の空気がいっそう張り詰める。
「彼女を尾行していたというのは本当ですか?」
「……申し訳ありません。ですが、それは」
「理由が何であろうと、これはストーカー行為ですよ。彼女が望めば、あなたを警察につき出すこともできる」
「ストーカーだなんて、決してそんなつもりでは」
山村の追求に、原口はただ焦って言い訳している。
だからさっさと謝って帰ればよかったのよ。
「あなたがどういうつもりかは問題ではありません。事実、彼女はそう主張しています」
「……それは……」
原口にはもう、返す言葉がないようだ。
それを悟り、山村は落ち着いた声で告げる。
「ご自身の社会的地位を守りたければ、お引き取りください」
なんて勇ましいのだろう。
過去のことがなければ、うっかり好きになってしまったかもしれない。