ライアーライフスタイル
「真咲ちゃん」
原口が悲しげに、ふたたび私の名を呼んだ。
私は怯えたふりをして山村にすり寄る。
ここまでくると原口が可哀想な気もするが、同情していては自分の身が守れない。
私は自分の利益のために嘘をつき、人を利用する悪い女だ。
原口は気の毒にもこんな私に引っかかり、腹を立て、報復を試みて失敗した。
これはただそれだけの話。
「尾けたりしてごめん。ネックレス、着けてくれてて嬉しいよ」
「気に入ってるんです。でも、お返しした方が……いいですよね」
「いいよ。俺、使わないし」
原口は私に笑顔を見せ、偽の兄に頭を下げた。
「妹さんに怖い思いをさせて、すみませんでした」
そして足早にこの場から立ち去った。
もう彼とは会うこともないだろう。
後味の悪い別れだった。
今までありがとう。
尾けられて怖い思いをしたことは、ずっと忘れない。