ライアーライフスタイル
原口が去り、緊迫していた空気に穏やかさが戻った。
しかし、一難去ってまた一難。
私はこれから、もうひとつの問題に対処しなければならない。
「あの、弦川さん」
「はい」
こんなことに付き合わせてしまったのだから、追求は覚悟の上である。
隠していた下の名前も知られてしまった。
彼は私が「つる子」であることを思い出したかもしれない。
戦々恐々としていると、山村は私の肩を掴み、撫で始めた。
「大丈夫ですか? 怖かったでしょう?」
なんか、思っていたのと違う。
どうやら心配してくれている、らしい。
私が唖然としていると、彼は私の肩を放して「あ、すみません」と謝った。
「怖かったです……。でも、山村さんのおかげで助かりました。ありがとうございます」
「驚きましたよ。突然お兄ちゃんだなんて」
「変なことに巻き込んでしまってすみません」
「本当にありがとうございました。今度何かお礼をさせてください」
「いえいえ、お構いなく。大したことはしてませんから」