ライアーライフスタイル
恨みがあるからあまり褒めたくはないのだが、私を助けてくれた時の彼は悪くなかった。
当たり前のことだけれど、この15年で山村も大人になっている。
小学生の頃ほど未熟ではないし、もう気に入らない女をむやみに傷つけたりはしないのだろう。
……いや、ちょっと違うか。
私はもうブスじゃない。
もし私がブスのままだったら、同じように助けてくれたかはわからない。
整形して以来、私は嫌というほど実感してきた。
男という生き物は、同じ女でもブスには辛く当たるくせに、美人にはとことん甘い。
とはいえ、助けられたのは事実だ。
そのことには、素直に感謝しなければならない。
私が初めて山村を好意的に受け止めた次の瞬間、山村の表情が一変した。
「ところで、弦川さん」
先ほど原口に見せていた、責めるような冷たい表情。
私を呼ぶ声も、いつもの柔らかさはなく、冷ややかだった。
「はい」
「さっきの彼に、何をしたんですか?」
背筋がゾクッと震えた。
どうやら山村は、私が清廉潔白でないことを察知しているようだ。
「……どういう意味ですか?」