ライアーライフスタイル
私は深くため息をついた。
「もうやめましょう。私たちが言い合っても意味がない」
山村も私と同じように息をつく。
「そうですね」
山村に助けを求めたのは間違いだった。
原口とのことは、自分だけで解決するべきだった。
これから彼とは、正体がバレることを恐れつつ、今日のことを気まずく思って仕事をしなければならない。
そう思うだけで、気が重い。
「今日は失礼します。助けてくれてありがとうございました」
これ以上こいつと一緒にいたくない。
私は頭を下げ、彼に背を向け足を踏み出す。
しかしすぐに腕を掴まれ止められた。
「あんなことがあったあとです。送ります」
冗談じゃない。
「結構です。すぐそこですから」
私は乱暴に山村の手を振り払って駆け出した。
「弦川さん!」
私の8割は嘘でできている。
真実の方がよっぽど人を傷つけるから、私は嘘に包まれて生きていきたい。
仕事があるから無理だとわかってはいるけれど、もうこの男には二度と会いたくない。