ライアーライフスタイル
所長が思い出した通り、今日はみんなで定時に上がって飲み会の予定だ。
共に働く者同士はとことん仲よくなるべきだということで、できるだけ毎月1回の頻度で親睦会をやるのがうちの営業所の方針だ。
オフィシャルの飲み会としては頻度が高いけれど、頻繁である分、雰囲気はゆるい。
この方針を打ち出しているのは古田所長なのだが、所長の狙い通り、うちの営業所の所員たちはみんな仲がいいのも事実だ。
月末で仕事は多いけれど、定時で上がるために続きを頑張ろう。
そう気合いを入れた時、事務所の扉が開いた。
「失礼します」
聞きたくなかった男の声に、私の顔の筋肉が強張る。
来客を迎え入れるのは私の仕事である。
「はーい」
「月末のお忙しい時にすみません。オリエンタル・オンの山村です」