ライアーライフスタイル
「うふふ、そういうことだったのね。てっきりそういう関係に発展したのだと思っちゃった」
そういう関係だなんて、冗談じゃない。
彼女のご期待に添えるようなことは絶対にないだろう。
「まさか。私なんか、相手にされませんよ」
山村だって、私の本性を知って引いているはずだ。
「またまたぁ。真咲ちゃんほど綺麗な子を無視できる男なんかいないわよ」
「そう言ってくれるのは堀口さんだけです」
山村がまったくの初対面なら、素直に素敵だと思っていたかもしれない。
仕事の関係者だから遊び相手にしたりはしないけれど、彼が営業所へ来るたびに軽く心がときめいただろう。
だけど山村は、私が人生で最も恨んでいる男だ。
私の青春を地獄にした張本人だ。
極力関わりたくないし、正体がバレてしまうのも避けたい。
「私、郵便局と銀行に行ってきます」
山村が所員と話している間に、私は逃げるように営業所を出る。
私が営業所に戻る頃にはいなくなっているだろう。