約束の恋



いつか、慧君に私の想い届けられるかな?

私が生きていられるうちに届くといいなぁ…。


一人失笑する。


その時。

右横で、声がした。

「紅林さん」



その声は聞き覚えのある声で男性とも女性ともとれないような中性的な感じだけど、凛としていて絹のような滑らかな響き。


はっと振り向いた私の目の前に立っていたのは、


少し癖っ毛があるけど、綿菓子みたいなふわふわそうなキャラメルブラウン色の髪に、


桜を思わせる瞳の色、


闇から光を導きだしてくれそうな温かな雰囲気を醸し出し




肌は雪のように触れたら溶けてしまうのではないかというような白肌に、


きっと天使または神様ってこんなんなんだ、と思わせるかのような中性的な容貌


――――――――《マスター》。


あれは人なのかと思えるくらい、人間臭さを思わせない。


生きる人形なのでは? とついつい思ってしまうほどの凄絶な美貌を持った我が主は、

音もなく一歩前へ進み出た。


「どうしたの?」

全てを見透かすかのような瞳で真っ直ぐこちらを見てくるマスターに、


どうやら私は誤魔化しきれなさそうだ。



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