約束の恋
「ちょっと、考え事を……」
「考え事? 進行が早まった?」
マスターの問いに私は首を横に振った。
「今のところ第三ステージまでに留まっているんです」
「……。紅林さん、君さえ良ければ僕の力を使おうか?
……と言っても僕の力を使っても君がエルデジェレイドには変わりはないけど、
それでも多少は痛みや苦しみは取り除けるし、進行はかなり遅らせることが出来る」
確かにマスターの力を使えば、痛みや苦しみはなくなり、進行遅らせることが出来るだろう。
寿命だって少しは延びるだろう。
だけど、進行を遅らせたって私がエルデジェレイドには変わりはない。
エルデジェレイド――私が道具として――私の正体とも言うべきである。
エルデジェレイド――それは神々の詩を謳い、司り、操ることが出来る者のことだ。
壮絶なる力を得る代わりに対価として痛みと苦しみが自分へと何倍にも反ってくる。
痛みと苦しみに耐えかねずに死んだものは何人もいた。
故にエルデジェレイドは短命という宿命を持っている。