約束の恋
その宿命を私は持っている。
最初はエルデジェレイドなんかになる気はなかった。
だけど、あの日思いもよらぬことに遭い私の運命は百八十度も回転したのだ。
神様の仕業か、あるいはいたずらか。
どちらにしろ私はエルデジェレイドになった。
一度でも力を使えば、坂道を転がり続ける石のように進行する。
止めることなど不可能だ。
エルデジェレイドになったらもう二度と普通の人にはなれない。
本来、慧君とは一緒には居られない。
けれど、マスターのはからにより一緒に居られて、学校まで通わせてくれた。
マスターには恩がある。
だからこそ、私はエルデジェレイドの力を持ってマスターを全身全霊を賭けて守るのだ。
無論、慧君も守ってみせる!
たとえ、この身が滅びようとも私の意思決意は変わらない。
だから、マスターの申し出に私は、
「すみません、マスター。とても有難い話なのですが、私は今のままで十分です。この生を持って、私は最後までマスターに尽くす所存でございます」
断った。
確かに、マスターの力を使えば短い命は伸びる。
だけど、私はそうはしなかった。
したくはなかった。
少しは命が長くなるかもしれないでも、いずれ人間は死ぬ。
なぜなら、不死者でもない限り、生命が存在する生き物は何であれ死んでしまう定めにある。
物もいつかは壊れ散り逝くものだと知っているからこそ、
私はそれらを大事にしていきたいと思ったからだ。
申し出を断ったのは勿体ないかもしれなかったが、私は、それで良かったのだと。
自分は不器用かもしれない。でも、胸を張って残りを生きれる。