約束の恋
これが俺の恒例の朝だ。
§§§
紅林 癒亜――こいつにはどうやら、《学習能力》と《諦める》という文字はないらしい。
俺が朝何度も突進してくんなと何回言っても、翌朝には同じことになる。
俺が何度も、諦めろと言っても、《約束》がどうのこうのとか、訳の解らんことを言って、
一方に諦めはしないし。
正直、かなり迷惑している。
なんで俺なんだ?
俺なんかを好きになったんだ?
本当に……
「不思議だよなぁ……」
おい、俺のセリフとんな!!
「ほんと、ほんと、何で慧なんかを」
なんかとは何だよ!!
ふぅと両隣でため息をつく悪友――親友(と置き換えておこう)。
前者に発言したのは、井原 純(イイハラ アツシ)。
茶髪にブラウンかがった瞳の色、遠目では女と間違われる線の細さが特徴づけられる。
実はトライアスロンやボクシング好きという意外な一面があるのだが、まあ見た目は青瓢箪だ。
後者は寿 真臣(コトブキ マサオミ)。
一言で言うなら、イケメン。
ストレートな短髪栗色の髪に黒目、爽やかで明るいのが印象的づけられる。
が、良いのは見た目と性格だけだ。
頭の中身は中の下ってところ。
つまり、悪く言えば馬鹿だ。