約束の恋



毎朝、早く起きてから、二人分お弁当を作るのが私の日課。


二人分作っても……慧君は食べてくれないけど。


それでも私は、作り続けている。

いつか……慧君に食べてもらえるようにと、願って。



スクランブルエッグを作り終え、残るはあと一品。


なに作ろっかな……?


今日はサンドイッチ弁当だから、あ、ポテトサラダは掻かせないよね。



ポテトサラダを作って、味見をする。


……………えっ。


嘘……なんで?


なんで、味がしないの?


作り終えたポテトサラダは全く味がしなくて……、ポテトの食感しかなかった。


じゃがいもの自然体に近かった。

味付けはちゃんとした。

だけど、味はしなかった。


その考えられる理由はひとつしかない。


エルデジェレイドの力による副作用が進行したからだ。


ヤバいなぁ……。


私の頭のなかには、もはや弁当作りどころではない。


死と時間。

その二つの言葉が頭の中で廻る。


こうして、頭を廻らせているうちにも刻々一刻と私のリミットは減って、副作用が進行し死に近づいていく。



と、とりあえずお弁当を作り上げなきゃね……!!


気をまぎらわせるかのように私はお弁当作りに集中するが、頭の中では死と時間という言葉がちらついていた。



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