約束の恋
「私は道具。マスターを守るためだけに生成された道具…」
自分にそう言い聞かせるかのように呟き唱える。
ぼっーと外を眺めている私に雛守さんが肩を叩く。
「癒亜さん、大丈夫ですか?」
「へっ?あ、うん、大丈夫」
雛守さんは私の大丈夫という言葉を少し疑い心配な顔をする。
「ほんとだよ? 安心して、私はまだ生きれる、まだ戦えるから」
「…………」
「この命有る限り、私は全身全霊を賭けてマスターと慧君を守るから」
笑顔で言う私に雛守さんは、
「……何かあったら、必ず連絡して下さい。それでなくても今、癒亜さんは奇跡的に生きているんですから…」
奇跡的に、という言葉に無言になる。
そうだ。本来なら…死を迎えてもいいくらいなのだから。
これはもはや奇跡――愛の奇跡と言える。
「それでいて、今第三ステージなんですから」
第三ステージを強調する雛守さんに私は無言のまま目を反らす。
「………分かってます。何かあったら早急に連絡します」
「本当ですよ?」
「はい」
私はそう言って、第八メンテナンス室を後にし、受付に行く。