私の片想い事情 【完】
「もう、冗談なのに……」
「知らない」
「今度はみなみさんがヤキモチ?」
今度は?みなみさんが?
何だかイチイチ言葉の引っかかる子だ……
「何でそうなるの?どうせなら、クラスの補佐、菅波君と変わってよ」
「ショックだなぁ~」
全くショックなんて億尾にも出さず、胸を押さえるふりをする。
私がげんなりしていると、菅波君が、「何か、スミマセン」と頭を下げ、瀧川君に蹴りを入れた。
「菅波君が謝ることないのよ」
「ハル、お前ばっかり何得点上げてんだよ!?」
「俺は何もしてないっ!お前が失礼すぎるんだろ!」
もっともな意見だ。
プールサイドで菅波君とじゃれあう瀧川君は、先ほどまでの妙に大人びた生意気な美少年って感じではなくて、その二人の姿につい笑みが零れてしまう。
あぁ、今日初めて笑えた、そう安堵した時、亜紀さんの「カギ締めるわよ~」という声が聞こえ、私たち3人は慌てて用具を片付けた。