私の片想い事情 【完】

「亜紀さんも菅波君も帰ったのよね?もう全部鍵しめていいかな?」

「あぁ、さっきハルは無理矢理亜紀さんに連れられて行ったけど?」

「えっ?本当に?」

「腕組まれて、真っ赤な顔していた」

「うっわ~お気の毒……あの人すごい酒豪だから付き合わされるのかな?」


今日、亜紀さんにつつかれ、からかわれ真っ赤になっていた菅波君の様子を思い出し、急に不憫になった。


「ねぇ、そんなことより。みなみさん、今からあいてる?」

「今から?」


デスクにちょこんと顔を置きながら瀧川君が尋ねてきた。


うっわ~子犬みたいでかわいい、とつい思いそうになり、いや、こいつは子犬の面をかぶった狼だと自分に言い聞かせた。


今から……


本当はこれから隼人とラーメンに行く予定だったけど、あの不機嫌具合。


すごく楽しみにしていた今日のラーメンデートだったのに、何だかすごく気が重い。


ぼんやり考え込んでいると瀧川君は「どうしたの?」と下から覗き込んできた。


うっわ、どアップ!


私は、突然綺麗な顔が間近に迫り、慌ててイスを引いた。




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