私の片想い事情 【完】
「クス、そんなに警戒しなくてもここではキスしないよ?さすがに事務所では、ね?」
「なっ……だ、誰もそんなこと考えてないわよっ!」
な、何を言い出すんだ、この子は!?
また顔が一気に熱くなる。
いたたまれなくて私は、机の上にあった雑誌でパタパタと顔を煽いだ。
そんな私の慌てた様子を見ながら、瀧川君はクスクス笑っている。
「で、今日は暇?」
「一応予定ある」
「あぁ、西崎さんと?」
「―――えっ?」
何で知ってるの?と怪訝な顔をむければ、その綺麗な顔でにっこり笑われた。
「西崎さん、機嫌悪そうにして帰っていったけど?」
「帰った―――?」
「うん、ハルたちが帰るちょっと前に」
隼人とのラーメンデートのことを瀧川君が知っていたことよりも、隼人が何も言わずに帰って行ったことの方がショックで私は何も言葉が見つからない。
デスクの上にある携帯を見るが、メールも着信もなかった。