私の片想い事情 【完】
今更隼人とどうこうなれるなんて思っていなかった。でも、こんな宙ぶらりんの状態で他の男の人を受け入れてしまった自分がすごく情けなかった。
そう、実際、触られてイヤじゃなかった。
訳のわからない初めての体験で驚いてパニクっていたけど、気持ちいいと思ってしまったのは事実。
そりゃあ、私だってセックスには興味あるもの。
興味本位でロマンス小説だって読んだことがあるし、隼人の部屋で見つけたエロ本も開いたことがある。
そう、経験がないだけで、世間一般の23歳の女子と変わらない。
ただ、そういうことの相手は隼人がいいとずっと思っていた。
夢に夢を見ていると笑われても、私にはずっと憧れていたシチュエーションというものがあって、それは、決して酔っぱらって公園のベンチで、知り合って一週間の年下の美少年に翻弄されるというものではなかった。
悶々とそんなことを考えていると、いつの間にか私の頭の中は靄がかかり、意識が微睡み始めた。
エアコン消さないと、と思うけど、もう起き上がれない。
ああ、私って案外図太いのかな、今日は寝れないと思っていたのに、もう瞼が重くてたまらない。
瀧川君に、クーラーは消すんだよ、って言われてたのになぁ。
瞼の裏に浮かぶのは、何故か瀧川君が送ってきたパンダの変なスタンプ。
あぁ、あれかわいかったなぁとにんまりしながら、そこで私の意識は途切れた。