私の片想い事情 【完】
重い腰を上げて、リビングの時計を見上げれば、6時半!
うっわ~私どんだけ寝てたのーーーー?
「隼人、ごめんね。今すぐご飯の準備する」
私は、キッチンカウンター下の引き出しから私専用のエプロンを取り出すと、急いでつけた。
ピンク色のとってもラブリーなそれは、静香さんが「これみなみちゃん専用ね」とプレゼントしてくれた某ブランドメーカーのもの。
たかがエプロンに~と目を丸くしていると、「裸にエプロンで隼人を襲っていいから」なんて、破廉恥なことを耳元でささやかれ、私はもらった初日にこのエプロンにコーヒーの染みを作った。
手にとるたびに、そのことが思い出されるが、あれから3年、そんなことは一度も怒らなかった。
う~ん、あんな夢見た後だし、何だか気分が変になるなぁ。
焦りながら髪を束ね、手を洗う。
あっ、顔洗った方がいいかな?と考えていたら、隼人が傍にやってきて、一緒に手を洗い出した。
「どうしたの、隼人?」
「手伝うよ」
「へ?」
「何だよ、その顔」
いやいやいや。
あなた、私が家政婦をし出してここ数年、食べた物をシンクに入れるくらいしか手伝ったことないでしょう?と怪訝な顔をすると、鼻の頭をピンとはねられた。