私の片想い事情 【完】
「イッタ……」
「失礼なヤツだな。俺だってやろうと思えばできるんだぜ。彰人ももうそろそろ帰ってくるし、急ごうぜ。それに、ポトフにセロリ入れられたらヤダしな」
とニカっと笑った。
あっ、そ~ゆ~こと?
以前、ポトフに隼人の嫌いなセロリを入れたことまだ恨んでいるのね。
あの時は、くさくて他の野菜にも匂いがついていると言ってひどかった。
それじゃあ、ニンジンとじゃがいもと玉ねぎの皮を剥いて、と隼人の目の前にどーんと置いてやった。
「げっ。何だこの量?」
「だって、隼人と彰人君すごく食べるんだもの。それに、多めに作っておいてタッパに入れておけば、彰人君朝食に食べれるでしょう?ほら、早く!私お魚さばかなきゃ」
私は、にっこりと笑って隼人の手にピーラーを渡した。
「手伝うって言わなきゃよかった……」
大きな図体でふてくされてピーラーを持つ隼人の姿がかわいくて、つい頭をよしよしと撫でてしまう。
魚臭い手でさわるな、とブンブンと頭を振る隼人。
ふふふ、こんな些細なことが嬉しい。
私だけの特権。