私の片想い事情 【完】
「そ~れ~で、結局いつものお友達のポジションのまま、みなみのお目目はハートなのね?」
事務所に、亜紀さんの辛辣な言葉が響く。
隼人の家で泊まり込み家政婦業をして三日目、隼人と一緒に出勤してきた姿を亜紀さんに目撃された私は、ただ今コンコンと説教を受けているところでございます。
「みなみにたっぷり世話をやかれた隼人は機嫌も良くなって、当の約束をすっぽかされたみなみは、隼人の機嫌を取りながら家政婦をしているのね?」
「う……ハイ」
「成長がないっ!」
私は亜紀さんにまたまた思いっきりデコピンされた。
うう、亜紀さん、今日はお酒入ってないはずなのにぃ。
「それより、みなみ、隼人の家からここに通っているの?」
「ハイ……」
「そこまでする必要ないでしょう?」
あぁ、仁王立ちの亜紀さんが怖い。
綺麗な顔って怒るとすごく迫力なんだよなぁ、と思っていると、本日二度目のデコピンをお見舞いされた。
「だって、性がないじゃないですかぁ!彰人君朝練と夏の補講授業があってお弁当二ついるんですからっ!」
「だから、どうしてみなみがそれをするの?」
「し、静香さんに頼まれたから……」
「断りなさい、そんな下僕命令!」
下僕命令って……