私の片想い事情 【完】
「だって、もうハイって返事しちゃったし……」
尻すぼみに答える私に、思いっきり呆れた顔をした亜紀さんは、とっても強烈なデコピンを私の額に披露し、ドカッと椅子に座った。
「あ、亜紀さん、デコピン三回はひどいです」
おでこをさすっていると、バカにつける薬はない、少しは成長しなさい、と怒られた。
この怖さ100%の亜紀さんから逃れようとロッカールームへ行こうとしたとき、事務所のドアが開かれ、そこに立っていた人物に、ドキリと身体がはねた。
「何大きい声上げているんですか?丸聞こえですよ」
「おはようございます」とにっこり笑ったその笑顔は、どことなく怖い。
「た、瀧川君、おはよう」
私はどもりながら、ドアの傍にたつ笑顔の怖い彼に挨拶をする。
「亜紀さんが言っていたことは本当?」
「へ?」
ああ、ここにも仁王立ちの美形が……
何が?と首をかしげれば、亜紀さんが代わりに答えた。