私の片想い事情 【完】
PiPiPiPi……
ソファー横に置かれたミッキーマウスの目覚まし時計が、静かな部屋に鳴り響いた。
私の趣味とはかけ離れたその目覚まし時計を見れば、点滅するデジタル表示の数字は8時43分を表示している。
そんな中途半端な時間にアラームをセットした本人は、全く起きる気配はなく、小さな二人掛けのソファーで気持ちよさそうに寝息をたてていて。
何の為に目覚ましをセットしているのかしらね、そう思いながらそっとその広い肩に触れた。
「隼人、起きて」
「ん……」
「隼人ってばっ!」
「ふぁ……」
色っぽい吐息を漏らされ、つい揺さぶっていた肩からぱっと手を放してしまう。
「はぁ……」
私は、そのあどけない寝顔をチラっと見て肩を落とした。
幸せが逃げていくと言われてもついもれてしまう溜息。
それはこの男が一向に起きる気配がないからではなくて。
それは―――