私の片想い事情 【完】
「悪かった」
隼人が背中を向けてボソっと呟く。
その言葉に、私の感情が一気に爆発した。
何で謝るの?
何に対する謝罪?
こんな惨めな想いをするくらいなら、無理矢理最後までして欲しかった。
こんな屈辱を与えられるくらいなら、痛みでも何でも耐えた。
私は手につく物を次から次へと隼人めがけて投げつけた。
「イッテ……みなみ、やめろっ」
「やめないわよっ!」
悔しくてポロポロ涙が零れてくる。
私はバカ隼人と連呼し、手元にあったクッションで思いっきり隼人を殴った。
「高二のバレンタイン……」
「は?」
「私はありっだけの勇気を振り絞って隼人にチョコを渡した。好きだと言う私に、あんたは笑いながら義理だろとふざけた」
私はクッションで隼人の頭をもう一度殴る。
「おいっ……」
「高三の夏。隼人の誕生日に、隼人が欲しがっていた限定スニーカーをバイトしてまでプレゼントしたのに、私の決死の告白すら耳に入らずスニーカーを眺めていた」
「いや、それは……」
涙を散らしながら、私は隼人に三発目をお見舞いする。
「クリスマス、卒業式、断られることなく、私の告白は見事にスル―されて、私のこの気持ちはずっと宙ぶらりんのままだった」
再度クッションを手に取ろうとすると、その手を隼人に掴まれた。