私の片想い事情 【完】
「みなみ、落ち着け」
「落ち着いてなんかいられないわよっ!大学に入って、もう好きだと伝えることすらさせてくれなかったくせに、私の想いをずっと拒絶していたのは隼人のくせにっ!!」
私はドンと隼人の胸を殴る。
「瀧川君に心が揺れて何が悪いの?好きだって言われたんだものっ!優しくしてくれたんだものっ!嬉しかったんだもん……」
一気に捲し立てた私の想いは、涙の防波堤を一気に崩し、次から次へと涙が溢れてくる。
「隼人は私をどうしたいの?隼人が全然わからないっ」
しゃくりを上げて泣く私に、隼人はどうしていいかわからないと言った面持で茫然としている。
私は、みっともなく、泣き続ける。
何も言わない隼人に、ううん、何か決定的なことを言われるのが怖い私は、隼人が口を開く前に、立ち上がった。
「みなみ?」
私は無言でリビングのドアを開け、玄関に向かう。
サンダルを履き、玄関のドアを開けたとき、その音に気付いた隼人が慌てて追いかけてくるのがわかった。
「みなみ、待てって!どこに行くんだ、こんな時間にっ!?」
ドアを思いっきり締め、隼人の声をシャットアウトする。
もう何も聞きたくない。