私の片想い事情 【完】
人間、存外に対応能力があるみたい。
24時間前はズタボロだったのに、バランスの取れた食事とたっぷりの睡眠は、思いのほか効いたらしく、私は起きた後、普通にシャワーを浴びて、歯を磨いて、ウィダーゼリーを片手に部屋の鍵をかけた。
外に出た瞬間、一気に汗が噴き出して、朝の10時だというのに、容赦なく照りつける太陽を恨めしく思いながらバス停まで歩いた。
突き抜けるような青空に、真っ白な雲。街路樹の緑が太陽の光を浴びてテラテラ光っている。
こんな日は、みんな海に行くんだろうなぁと思いながら、最後に海に行ったのはいつだったかな、とふと思った。
いつもプールに入っているので、これと言って、海やレジャープールに行きたいと思わなかった。
彼氏がいたらまた違ったのかな、なんて思いながらバスに乗った。
身体に染みついた習慣って恐ろしい。
ぼんやりしていたら、いつの間にかスイミングクラブの前に来ていた。
あれ?私パスモ出したっけ?なんて呑気なことを考えながら従業員ドアを開ける私は、やっぱり図太いんだろうね。
うん、私は意外にしっかりしていた。